風邪、インフルエンザと漢方薬
風邪・インフルエンザの時期になりましたね。市販や病院の風邪薬もいいですが、東洋医学では風邪をどのように捉えて、どのように治療していくのでしょうか?
昔はウイルスという概念はありませんでした。そのため東洋医学では、風邪をその人の体質や、疲労やストレスで体の抵抗力が弱くなったところに、外からの邪気、冷え、などが侵入した時に起こると考えられています。そのため体を温めて発汗を促したり、寒や外邪を体外に排出することが基本的な治療方法です。こうした治療で、ウイルスの排出を早め、体を温めることで免疫力が活性化させて、自分の力で風邪を治すことができるのです。
予防対策としては・・
1、過労をしないように気をつける
2、冷たいもの・胃を冷やすものを食べない
3、空気を乾燥させない
4、うがい、手洗いを十分にする
体を温める漢方薬や、メディカルハーブをお茶のように毎日服用するのもいいですね!
それでも予防をしても風邪をひいた方は・・漢方薬で早く治しましょう
風邪の症状や、その人のタイプによって使う漢方薬は異なります
●肩がこる・ぞくぞくする・寒気がある・発熱・肩こり・・・葛根湯・・お湯割りにしてじわ~と汗が出るまで服用するのが効果的です。暖かいお粥を食べる、布団を被って汗をかくなどもいいでしょう。
インフルエンザウイルスにも効果がある麻黄湯や鼻水、咳、アレルギー疾患にも効果のある小青竜湯や大青竜湯なども麻黄が含まれる漢方薬で、葛根湯と少し似ていますが、発汗解表作用の強さが異なります。
葛根湯など麻黄を含む漢方薬は汗をだし、熱を下げますが、体力にない方、普段胃腸の弱い方には適用しません。 体力のない方や、胃腸の弱い方は桂枝・ケイガイ・防風・紫蘇葉をベースにした漢方薬を使用し、麻黄を使用しない事です。
桂枝加黄耆湯(ケイシカオウギトウ)・桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)などがよいでしょう。
●寒気は少なく・のどの痛みがひどい、目の充血などがある…銀暁散(ギンギョウサン)がよいでしょう。炎症をとり、冷やす作用があるので、風邪による身体の炎症、のどの痛み、炎症を鎮めます。
●胃腸が弱く、病院や市販の風邪薬が合わない人の咳、喉の痛み・寒気・頭痛・発熱・・・參蘇飲(ジンソイン) 胃腸を立て直しながら発汗解表作用させる効果があります。胃腸が弱い方は喉が痛くなりやすい傾向があります。
●悪寒・発熱・激しい頭痛・四肢のシビレ、じんじんした痛み・鼻閉・咳…荊防敗毒散(ケイボウハイドクサン) 突発性のシビレ・痛みは・感染したことにより汗腺が塞がりシビレむくみが生じます。インフルエンザ・流行性耳下腺炎・気管支炎・慢性関節リュウマチ・蕁麻疹・五十肩などにも応用されます
●コンコンとでる空咳、特に夜間に悪化する咳…麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)
●痰が切れにくく、時につよく咳き込む。喉が乾燥している咳…麦門冬湯(バクモンドウトウ) 麦門冬をベースにした養陰清肺湯(ヨウインセイハイトウ) 肺を潤す作用があるので鎮咳作用と共に痰が切れやすくなります。アメを舐めたら楽になるような咳、高齢者の慢性的な咳にもよく効きます。
●胸が痛くなる程の激しい咳、気管支炎、マイコプラズマ肺炎…柴陥湯(サイカントウ)
他にも風邪の症状に使う漢方薬は多くあります。ベースの漢方薬に加えていろいろな生薬を足したり引いたり増やしたり減らしたりしていろいろな処方になります。風邪でもその時の症状によって処方はどんどん変化するので、症状が変わったら、相談するのが一番よいとおもわれます。
風邪が長引いたり、こじれた風邪はまた処方が変わってきます。症状が変化した場合はすぐに漢方薬を処方したところに相談しましょう。なるだけ無理をせずに、暖かくして、ゆっくり休んで早く良くなってくださいね